大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)256 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人両名の各負担とする。

理 由

被告人両名の弁護人大塚一男の上告趣意第一点について。

所論は、原審が、第一審における本件被告人の正当防衛または過剰防衛の主張を

単なる情状論とみて判断しなかつたことを非難し、この理由に基き判例違反を主張

する。所論について記録を調べてみると、第一審の被告人Aの弁護人は、その第四

回公判期日に、両被告人の当時の行動の経過において被告人Aが泥酔状態にあつた

ことを述べ、被害者が被告人Aの注意諫止に逆らい同人を攻撃して打つてかかろう

としたため、Aはその挑発にのり、かかる結果を来したものであるとし、被告人の

動機、性情等を御勘考の上寛大な裁判を仰ぎ度い旨の意見を述べている(一八六丁)。

従つて原審が、被告人両名の弁護人の控訴趣意第一点の判断遺脱の主張に対し、右

は量刑に関する情状を述べたものと認められ、刑訴三三五条二項に反するところは

ないと判示したのは正当であつて誤はない。所論引用の判例は、「単に執行猶予を

求むる為め情状として心神喪失の疑ありと述べたるに過ぎざる場合には之に対する

判断を判決に示すことを要するものに非ず」というのであつて、原判決はむしろこ

の趣旨に副うものであり、判例違反の主張も採用できない。

同第二点について。

所論は、原判決の訴訟法違反及び事実誤認の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理

由に当らない。そして記録を調べてみても、所論はいずれも理由がない。

被告人両名の弁護人井上四郎の上告趣意は、上告理由が見当らないというのであ

る。

被告人Aの上告趣意は、事実誤認、採証法則違反の主張を出でないものであつて、

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刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

その他記録を調べても同四一一条を適用すべき事由は認められない。

よつて同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す

る。

昭和三〇年一二月二六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 小 林 俊 三

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 本 村 善 太 郎

裁判官 垂 水 克 己

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